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「そしてこいつは良く喋る」



「ん…?あ!ご主人様!ご無事でしたか!良かった〜…」

その時、ぷりんの奴がやっと目を覚ました。
だけど、私はぷりんの声で現実へと引き戻された気がしてたまらないのは言うまでも無い。

「ぷりん。アンタどこに隠れてたのかしら…?」

私は引きつった笑顔でぷりんを思いっきり左右に引っ張る。

「い!いひゃい!いひゃい!やめてくらはい〜〜〜!!!
いませつめいしまふかりゃあ〜!!!」

「……ふんっ」

私がパッと手を放すと、
ぷりんはそのままふらふらと落ちていき、顔面から地面激突した。

「うう…ひどいです〜」

ぷりんはちょっと悲しそうだった。
これには流石の私もちょっと心が痛くなった…。

「ごめんねぷりん、ちょっとやりすぎちゃった…」

私が頭を下げるとぷりんは「とんでもない!」と私の頭を持ち上げ、
また、長々といつもの如く喋り捲ってくれる。

「僕が説明をしなかったのがいけなかったんですね。
…えっと、モンスターと戦うためには魔法が必要だって言いましたよね。
それでですね。通常僕等使い魔は、殺気を感知すると、
ご主人様に力を貸すために自然と同化してしまうのです」

「えー、でも同化ったら普通喋ること位出来るんじゃないの?
アンタ、どうしてあの時私に何も言わなかったのよ」

私が不満そうに言うと、ぷりんは申し訳なさそうに苦笑いを浮かべてから更に続ける。

「うーん…それが、僕等は精霊との交信に力を入れるため、
言葉を交わすことは一切出来なくなってしまうんですよ」

「えー……」

正直、めんどくさ…と思った。
戦闘初心者、魔法使い初心者…。
そんな私がいきなり戦場に放り投げられているようなもの…。

一体何が出来るんだと…。
それこそ死にに行くようなものじゃないのかと思う…。

「あ、でも代わりに色々な精霊達との交信を行えるようになりますので、
今のご主人様でも炎の初級魔法【ファ・イ】これが使えるようになるでしょう」

「え!?使えるの!?うっそー!」

使える、そう聞いて私の心は思いっきり弾んだ。

「はい、これは初級魔法なので、詠唱もいりませんし、
僕達使い魔が協力しなくても自然と使える程度の魔法ですから…。
でも、危険なので絶対普段は使わないで下さいね…」

だが、私の耳にはぷりんのその後の言葉が雑音程度にしか聞こえていなかったのだ…。

「なんだー、魔法つかえるんじゃーん!
最初から言ってよね。まったく…。どれどれ?」

真っ青になるぷりん。リードは状況が全く飲み込めていないようだった。

「ファ・イ!」

私の叫び声と共に私の正面に炎の壁が構成されていく。
気がつけばそこには、私の身長と同じ位の巨大な火の玉が現れていたのだ!!

「きゃー!きゃー!すっごーい!」

初めての魔法に感動し、思いっきりはしゃぎまわる私。

「ひー!ひー!は、早く消して下さいー!!!」

そして、それとは逆に泣きそうな声をあげ続けるぷりん。

「わかったわよ…ったく、折角人が楽しんでたっていうのに……。」

私は炎を消そうと思った。が、消えない。と言うか消せない。

「ねぇ?これって……どうやって消すの?」

「はい、実は僕も知りません。」

私とぷりんは心のこもってない棒読みの笑い声ではもった。

「……どうしろっていうのよ!!!」

ぶつけどころの無い怒りをとりあえず叫びにして訴える私。

「あれ?この音は…?」

…その時、どこからか水の流れるような音が聞こえてきた気がした。

音のする方に視線を移すと、
そこではリードが華麗に楽器を奏でる姿が映った。

「何物にも必ず音がある。そして、僕はその音で傷を癒したり魔法のような力を使うことが出来る。
そして、これは水の旋律。ハープ等の優しい音色の楽器によって奏でることが出来る旋律だ」

私達は今確かに草原にいた。
だけど、この音色を聞いていると、まるで水の中にいるような。
いや、水の中にいる。そう確信でき、自然と心地よい眠りを誘われるそんな音色であった。

「あ……炎が……」

リードの奏でる水の旋律から流れ落ちる水の音によって、
炎は静かに消えていくのだった。

「うーん、リードってかっこいいね〜!
まさに完璧な男?これでお金持ちだったらパーフェクトね♪」

私の言葉に「そんなことないよ」と笑うリード。
兎に角カッコいい!!はっきり言って惚れること間違い無い。

「ご・しゅ・じ・ん・さ・ま!!!」

何て考えていると、
突如ぷりんが私の目の前に現れる。

「な、なにかしら……?」

「使わないで下さい!って言ったじゃないですか!!!!」

その後、ぷりんの長ったらしい説教が始まる。
私の肩に乗りながら耳元でずっと説教をしてくれていた。
だけど、その説教は私の片方の耳から入って反対の耳から抜けていっていたのは、
誰に言うことも無く皆理解してくれているであろう……。




「そういえば、リード。どうしてこんなへんぴな所にいたの?」

ふと思い尋ねると、リードは恥ずかしそうに後ろ頭をかきながら答えた。

「いやね、実は、迷っちゃってさ…。
それで気がつけば一緒にいた仲間達ともはぐれちゃって、
道しるべにしてた目標も失って困ってた所だったんだ…」

なんと以外な落とし穴。
ステキにかっこいい男リードはものすごい方向音痴なのだった。

「ふーん、でさ、どこを目指してた訳?」

「ああ、【エーデルシュタイン】って言う城を目指してたんだ。
そこの女王様が、なんだかよくわからない病気にかかったらしくって、
どんな魔法でも全然目を覚まさないだって。
だから僕の癒しの旋律でその病気を治せないかなと思ったんだけど……」

「だけど、仲間とはぐれて迷子になってたって事なのね?」

「うん、まったくその通り」

「そういえば、リードさん。貴方さっき奏でていた楽器はどこにやったのですか?」

ぷりんが尋ねる。しかし、言われてみればそうだ。
リードはハープなんて巨大な楽器をどこからとりだしていたのだろう。

「ああ、あれはこの鞄からだよ。」

と言って自分が肩から下げている鞄を指差してみせる。

「頭、大丈夫?」

私はつい普通にそう尋ねてしまった。
それを聞いたリードは軽くこける。

「あ、もしかして【アーティファクト】ですか!?」

突如、ぷりんがちょっと驚きの声をあげた。
アーティファクトって何やねん……。

「うん、そうそう。よくしってるね。丸いのに」

「丸いのは関係無いです!」

二人の間抜けなやりとりは漫才みたいでちょっと笑えた。

「ああ、それで話しは戻るけど、
これはアーティファクト【ディメンションバッグ】って言うんだけど……」

この鞄、見た目はてんで普通のちょっとぼろっちいんだけど、
中には不思議な空間を構成していて、
何を幾ら入れても無限に収納することが可能で、
更に思ったとおりのものをいつでも簡単に取り出せるそうだが……。

そんな謎な空間に生もの(ぷりん)をいれていただなんて…。
そう考えると少し恐ろしい気がする。

私はこの時思ったのだった。
リードの今までのちょっとずれた言動。
こう考えれば説明がつくのではないだろうかと…。

「リードってさ、天然でしょ」

「…え?僕は記念物じゃないけど?」

リードは、天然ボケなんだ…と……。

「はあ…、完璧な物って本当に少ないのね……」

私は、ぼそっとつぶやき大きなため息をこぼす。
私って、熱しやすく冷めやすいタイプだから……。
こうして、私の短い恋物語は静かに終わりを告げるのだった。



私はノストまでの道をただひたすらに走っていた。

「はあ…はあ……」

ゲル状の物体が私を追いかけてきている。

「ひいい!!気持ち悪〜〜〜!!!
なんなのよこのゲル状の物体はああ!!!」

だが、誰の答えも聞こえてはこない。
しかもこの物体は以外と足?が速く、
私はあっと言うまに追いつかれてしまう。

そして、その物体は私の頭の上にジャンプして、
思いっきり真上から覆い被さってくる。

こいつはぬるぬるして気持ち悪い。ただそれだけだ。
痛くも無ければ熱くも寒くも無い。
それはただ不愉快なだけだった。

「もーーー!!!なんで私がこんな目にあわないとならないのよーーー!!!!!!」

これは、バカぷりんのささいな一言から始まった出来事であった。

「ご主人様!ノストにつくまで軽く戦闘訓練をしましょう!」

ぷりんがいきなり言い出したのだ。

「戦闘訓練?なに言ってるの?
リードがいるからモンスターが出たって大丈夫よ。ね?リード♪」

私は猫なで声で彼にゴロゴロと甘えるようにして言った。

しかしリードは、何やら暗い表情で、

「いや、単体ならいいけど、結構大軍で来られると困るよ」

との事、大勢で襲ってこられると私を守っている余裕が無いそうだ。
男なら嘘でも大丈夫って言ってよ!!!!!!

「で、でも!私実戦どころか魔物にあったのすら初めてなのに……」

私はなんとかこれを避けたかった。
一人になるのが不安だったから………。
だけど……。

「大丈夫だよ。僕も古い本で読んだだけで、
実際に会ったのはさっきのが初めてだったから」

強烈な追い討ち……。それを聞いたにやりとぷりんが微笑む。

「大丈夫です。ここなら城までさほど距離はありません。
明るいうちは、凶悪なモンスターもまずいませんしね。
それに、ご主人様。運命を変えるには強くならないといけませんよ」

「むぅー……」

こうなっては回避の仕様が無い。あたしはしぶしぶ了解した。

「あ、無いよりはましだろうから、この【鋼の剣】を渡しておくよ」

「ううう、リードありがとう…」

でも、どうせならついてきてほしかった…。
そして、リードとぷりんの二人は先に北へと向かって歩いていってしまった。
こうして短いけど、気持ち的にはとても長い苦難の道のりが、始まったのだ。

「ぶぎゃあ!!」

ちょっと休憩と立ち止まっていると、
またもゲルが私に頭の上から同じようにして襲い掛かってくるのだ…。

「ったく…、気持ち悪いのよー!!!」

叫びと共にゲル状の物体に炎の魔法を食らわし、吹き飛ばす。
魔法は一つの感情を強く持つだけでも自然と発動できるらしい。
まさしく今の感情は、(気持ち悪いからあっちいけ!)であろう。と思った。

それから何度もゲル状の物体に出くわしては同じ事をされて、
私はすっかりどろどろになっていた。
いくら炎の魔法と言ってもまだ初級魔法程度しか使えない私では、
完全に蒸発させる程の力まではなかったのだ。

私は、(ぬるぬるして気持ち悪い…)と思いつつも、
ノストを目指して歩きつづけていた。
こっちが正しい道ではないとは気づかずに……。